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早稲田大学バレーボール部 は2011年(平成23年)に創部80周年を 迎えます |
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松井さんの寄稿文 |
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「勝つための積極的な行動は人をつくる」 寄稿 松井泰二 (H3)
このたび稲門会より寄稿の旨を受け,恐縮ながら自身の考えを述べさせていただきます. 私,平成3年卒業の松井泰二と申します.末筆であり,また僭越ではございますが,少々お付き合いいただけたらと思っております.私自身,公立中学校教諭を経て,現在東京の大学で教鞭を執っております.その立場から教育・研究の視点から,また早稲田大学バレーボール部のOBとして述べさせていただきます.
現在,教育を取り巻く社会環境は急激に変容し,それに伴い学生の生活・学習環境(状況)も急変している.今から20年前の昭和63年度の大学(大学・短大)進学率は18歳人口の38%,高等教育機関(大学・短大・高専・専門学校)進学率は53%であったが,平成18年度の大学進学率は18歳人口の52%,高等教育機関への進学率は76%であり(文部科学省「学校基本調査」速報.2006.),20年前に比べ大学進学率は14ポイント,高等教育機関進学率は23ポイント上昇している.このことは大学を含む高等教育機関への進学が大衆化していることを意味している.20年前の学生は,大学に明確な目的を持って入学してきたが,いまや大学進学の大衆化により,その目的を持たないまま入学してくる学生が多くなったと言えるだろう.早稲田大学においても,入試形態が多様化・複雑化し,さまざまな価値観を持った学生が,学力による一般入試以外のさまざまな入試形態で入学しており,どのレベルに合わせて教育すべきか,という問題に直面し,教育の混乱を招く一要因となっている. 1980年代のアメリカは経済の低迷,対人関係の崩壊,大学においては,学内への銃の持ち込み,未成年の飲酒,喫煙,暴力,ドラッグ,スポーツ推薦により入学した学生の学業不振等により大学の本来あるべき姿と乖離していた.その際に,「ライフスキル」を身につけさせることにより教育の立て直しを図り,良い影響が出てきたことは有名である.「ライフスキル」とは1993年にWHO(世界保健機関)が,日常で起こる難しい問題やさまざまな困難に対して,主体的・効果的に行動するために必要な能力のこと,として定義し公表した.その項目には10項目あり,自己認識,共感性,効果的コミュニケーション,対人関係スキル,意思決定スキル,問題解決スキル,創造的思考,批判的思考,感情対処,ストレス対処の技術のことである. 私は,現在,スポーツを通して人として成長してもらいたいという思いから,アスリートのためのライフスキル研究会に所属し,「スポーツから世の中を変えよう」という活動をしている.スポーツは世間的には,健康的・純粋・一所懸命な姿に共感できる…などの正のイメージがあるが,最近では大麻栽培,集団暴行,強制わいせつ,未成年の喫煙・飲酒などの負の一面が多く取り上げられている.この背景には家庭や教師のモラルの低下などによる倫理観・道徳観の低下が要因であると言えるだろう.電車内・レストランなどの公共の場所での振舞い方は以前に比べ,自己中心的で善悪の判断ができない行動が目につくようになった.生活する上でいわゆる常識といわれるものが崩壊してきている.そこでアスリートとして,生活をきちんと過ごすことにより競技力向上を目指そうと考えている.人として成長することは,気づいていないことに気づく,人の指示を受けなくても行動できるようになることである.自身を律し,自立することとも言えるだろう.日常生活において,その時その時に降りかかってくる諸問題と向き合い,解決していくことができるようにしなければならない.このことは,バレーボール競技と全く同じである.時々刻々と変化する相手の戦術に対応するには,常に自身の脳で考え,正しい選択をし,正しく実行することである.その回路を日常生活において作っておくことこそが勝利の近道であることは言うまでもなく,人間形成の副産物として勝利がもたらされると考えるべきである. そこで「スポーツマンシップを再考し,実践しよう」と提案したい. スポーツマンシップとは何か?スポーツとはいったい何か?何のためにスポーツをしているのか?喜びを感じた時,自分自身だけで勝ち取ったものなのか?苦しい時に投げ出すべきかどうか?等々を考え,スポーツがもたらす人間形成への有効性に気づき,さらにはスポーツマンシップの大切さ気づいてもらいたい. やはり,もう一度スポーツに取り組む意味を知り,考え方,取り組み方を再考しなければならない時期に来ている.バレーボール競技が好きならば,徹底的に勝つことにこだわり鍛え抜くことである.鍛え抜くのはわずか3時間の練習ではなく,それ以外の21時間の取り組み方を「ライフスキル」にこだわり実践する必要がある.基本的な生活習慣,ものの考え方・物事への取り組み方・仲間に配慮した自分の意思の伝え方などを実践に移すことが,スポーツを通して人として成長する基盤となるのである.立命館大学のアメリカンフットボール部は,学業最優先を打ち出し,スタッフが中学校の部活顧問が行っているような授業ノートの点検などを継続的に行い,学生に練習以外の取り組みの重要性を説き実践した.その取り組みは見事に功を奏し,大学日本一(2002年,2003年連覇)・日本一(2002年.社会人を破りライスボウル優勝)につながった大きな要因であると当時の監督は述べている. このことは単に生活習慣を変えたのではなく,日本一になるためにはチームとして何が足りないのか,その構成員としての一個人として何が必要なのかを考え続け,本当の一流とは何か,一流選手とは何かを発見するための実践を行ったと私は考えている.そのことが発見されれば自分を尊ぶことができ,一流とは何か,人とは何か,スポーツとは何かと,さまざまな領域の本質を捉えることができると信じている. 将来,さらなるスポーツの発展は,スポーツに関わっている(関わってきた)我々にかかっていると思っている.スポーツは良しにつけ悪しきにつけ,「スポーツ選手だから…」と言われる.つまり,スポーツ選手は見られている存在なのである.「スポーツ選手は違うよな」といわれる存在になるように支援していきたい.勝つことを目標として活動することは言うまでもないが,大学生として人として一流になることを目的に活動しなければならいことを忘れないことである. スポーツは優れた教育であるということを,早稲田大学バレーボール部から全国にそして世界に,ぜひ発信してもらいたい,と願っています. |
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